南ア深南部・バラ谷の頭~黒法師岳~寸又峡(その2) やまづと2020.11



ここまでの間、4人パーティーとソロのお方、2組とすれ違います。逆ルートから来たのでしょう。



鋸山を過ぎたら次に目指すは房小山。笹がもふもふしていて、遠くで見るととっても可愛いお山です。踏み跡はあるものの、先ほどよりは薄く、人の気配を感じません。そして獣臭が所々でしてきます。いよいよ深南部の入り口か?!とわくわくしながら足を進めますが、雲が厚くなってきました。





12時を過ぎるとポツポツと降り始めましたが、まだまだ小雨。しかも、房小山を過ぎると笹藪と木々が立ち並ぶエリア。雨なんて感じさせませんし、逆に湿っている感じが南アルプスをより一層味わえる気分でした。



あちこちにヌタ場と獣道があり、笹藪も背が高くなり、人の踏み跡なんてありません。動物エリアに、人間がお邪魔になっている感覚です。そして、先ほどより獣くさい。今回この辺りが1番の獣を私達に感じさせました。





しばらくすると2000m最南端の標識が。よく気付く人がいたものだねと言いつつ足を進めるとついにバラ谷の頭に到着!!!!!長かったようで短かった?思ったより早めに着き一安心です。



天気が良いと眺望も素晴らしいのでしょうがガスってます。真っ白です。標識からまっすぐ笹藪の踏み跡があったので覗いてみると断崖絶壁。ひぇ〜と思いつつ、この横を下るの?!と急に不安に。ぎゃーぎゃー喚きながら、雨でぬかるんだ急斜面を降ります。



この3日間、ここが1番の苦行でした。あっという間に100m下がります。もっと修行します。



何とか降り切ると、水場の看板が!!ザックをおろして給水タイムです。斜面を降りるとすぐに沢の音が聞こえ、5分ほどで辿り着けます。水、最高!!



少し進み本日の幕営地バラ黒に到着。時間は1510分、2日目の行動時間は9時間。10時間以上を覚悟していたので、ほっと一安心です。でももたもたしてる暇はありません、雨風が強くなってきたので慌ただしく幕営。テントに入れたときは、ほっとしました。

なんやかんやしていると、私たちを警戒していたのか、早速鹿の鳴き声。鹿さん、少しお邪魔させていただきます。



この日の晩御飯はドラポケさん作のトマト鍋。しかもペニ缶肉入り!疲れた後のお肉がしみます。この日で宿泊も最後ですので、持ってきたお酒を飲み干せる日。

ヒマラーさんは梅酒+美酢をブレンドしたオリジナルカクテル。(さっぱりしておいしい!)ドラポケさんは、バーボンにドライフルーツのレモンを入れたもの。(おしゃれすぎて痺れます、そして美味しい)私はいも焼酎お湯割り。それぞれのお酒を交換しつつ楽しんだところで就寝、明日はいよいよ黒法師岳です!(夜中は雨風が凄かった、とのことでしたが、自己中山女はあったかシュラフのおかげで一回も目を覚まさず熟睡できました むふふ)


【3日目】

朝4時半起床。目が覚めると、雨風は少しおさまってきたよう。ほっと一安心です。

スキムミルクとグラノーラを食べ、テントを片し、6時20分には出発できました。今日は帰るだけと思いきや、なんせ行動時間が長すぎる!!早起きをして、早く出発できてよかったです。





外はもうほとんど雨はやんでいて、白い世界です。白い霧の中にぼわあっと太陽の光が。とても幻想的で素敵な景色を見ることができました。霧の南アルプスも痺れます!!





黒法師岳が見えないのでコンパスで位置を確認して足を進めます。黒法師岳の登りが始まると高い藪が!でも、黒バラの地点より人間の踏み跡がしっかりあったので、良いペースでぬかるむ藪道をえっさほいさ登り、山頂に到着!3日目にして黒法師岳に到着です。ここの三角点は「×」印になっていて、「+」でない珍しい三角点マークらしい。

雨は止んだけれど、雲がかかって今いち。少し粘って空がはれるのを待ちましたが、諦めて足を進めることに。



1812m辺りで空もすっかり晴れて気持ちの良い天気だったので「もう少し粘れば!」と少し後悔。でも振り返ってみる黒法師岳もとってもかっこよくて、私はこの1812mの藪が今回の一番のお気に入り地点でした



お次に目指すのは「前黒法師岳」。アップダウンしながらもまずは、ヘリポートを目指します。何となく踏み跡があるような道で、止まるたびにコンパスを確認しました。

30秒前にヘリポートの方向を確認したのに、(確か)1776m辺りで私は南の支尾根を降りていました。東に向かうはずなのに。すぐに声をかけてもらったので良かったのですが、「早くヘリポートに!」という私の焦りの気持ちもあり、ダメダメなミスです。
うーん、地図読み、頑張ります

広いところでは踏み跡もなく、方向だけを頼りに進みます。





ヘリポートに着いたら休憩です。ぽかぽかで日当たりがよく、すごく良いテント場!林道を下れば水場もあるそうなので、余裕があったら丸盆岳もコースに入れ、ヘリポートで一泊、なんかも良いなあと妄想がふくらみます。



ここで山と高原地図を確認すると、このヘリポートから寸又峡温泉まではコースタイム7時間20分。ぎょっとします。そんなに歩けるかなあ、明日仕事だなあ、などと頭の中で下界のことがちらっとよぎります。でもまだ前黒法師岳があります、邪念を払って、出発です。





ピークを一つ越え、いよいよ前黒法師岳が目の前に!ここは、本当に「南アルプス」感が満載。苔むした地面、もみの木々、木の香り、とっても素敵で私は深呼吸をしながら、がしがし登れました。

今までの疲れなんて全部ふっとびます。この道が終わるのがもったいないと思うほど、素敵な空間。「あー、頑張ってよかった。」と心の底から思った瞬間でもあります。





山頂に着くと南アルプスの木の看板。ここも沢口山同様、寸又三山。しかし、寸又峡温泉から登るのは結構ハードなコースで、私は心が折れてしまいそうです。

少し長い休憩をとり、いよいよ下山です。3日間にわたる山歩きもいよいよ終盤。ちょびっと寂しい気持ちもありますが、日が暮れたら大変なので、どんどん進みます。





前黒法師岳から寸又峡温泉までは、特に開けた場所もなく、下りが続きます。途中イワカガミの群生地を通ります。花が咲く時期はとても綺麗なのでしょう!でも、目を引く場所はここだけ。とにかく下りです。

2日目にすれ違った2組は、ここを登ってきたはず。よくここを登れるなぁとびっくり心が折れます。ヤマレコを見ていると、寸又峡温泉〜前黒法師岳〜黒法師岳〜山犬段〜寸又峡温泉を2日間で縦走してしまう人も。仙人ですか



長い下りが終わると林道に出ます。この林道は10分ほど歩くと飛竜橋に続いています。途中、水がジャバジャバ出ていて給水タイム!東京へのお土産をゲットです。また、この林道ではキツネとカモシカも!キツネはこちらをじっと観察していて、とても可愛かったです。



寸又峡温泉に着くと1515分。この日の行動時間は9時間でした。ふぅー、3日間よく歩きました!

怪我した後の初めての泊まり山行でしたので、不安な気持ちがいっぱいでしたが、お二人の大先輩のおかげで無理なく、とても楽しく過ごすことができました!

お二人には大感謝です()

今度の泊まり山行では、共同装備を持てる山女を目指して、これからも精進します。

おわり

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