長い薮尾根歩きをしている姿を想像して、無駄と不足のない準備を心がけた。
集合場所では、初めて会う方が何人かいて緊張した。
MYさんが事前にタクシーの手配をしてくれたおかげで、駅から直ぐに出発できた。
Sさんの計らいで、身軽なMRさんが自分の前を歩いてリードしてくれた。
耳の良いIさんは、富士スピードウェイからバイク音が聞こえてくると、教えてくれた。
鳥に詳しいSさんは、鳴き声を聞き分けて教えてくれた。
植物好きのAさんは、植物の写真を撮っていた。
読図が得意なKさんは、後方に気を配りながら終始先頭を歩いてくれた。
便や足跡などから、様々なケモノの存在を感じた。
Sさんが、雪上を元気に飛び跳ねながら下っていると思ったら、突然何かにつまづいたように前のめりに倒れた。
「休憩は座らない」と聞いていたが、菰釣山ではベンチに腰をおろせた。
「MRさんが滑落する!」と思ったら、立木に体をくの字にして、引っ掛かって止まった。そして、笑っていた。
MYさんは最後、Iさんに配慮してしんがりを務めてくれた。
スカイバレーキャンプ場の看板を見つけて、胸をなでおろした。
MYさんは、難儀な帰路のタクシー手配を根気強く確実に成し遂げてくれた。
ローカットの靴を履いていたAさんとMRさん、足が濡れて冷たいはずなのに、二人から愚痴も文句も聞こえなかった。
反省会は塩分祭りになった。Aさんの発見した、ポップコーンの醤油付けが最高に美味だった。
Iさんは、最後の最後まで同行者の面倒を見てくれた。
日付が変わる時間に帰宅した。
山からの贈り物を沢山もらった1日だった。
丹沢・椿丸から大栂、菰釣山 2023.2 やまづと
仲間がいてくれたから、ここまで来られたと思う。
時計上では、登り始めてから1時間強しか経っていないことに驚く。
幻想的で印象に残る景色だった。
14時半到着。雲で視界が遮られていたので、期待したような眺望は楽しめなかった。
Sさんが教えてくれた。木の実が不作で地上に沢山落ちていない時、ツキノワグマが木登りをして木の実を食べる時にできる。要はクマの生息地域だというしるしだ。
この後、下降した直後のSさんのあしが突然攣る。Kさんが、Sさんの靴の上から踵とつま先を持ってふくらはぎを伸ばし、戻した。Aさんは、即効性があるという漢方薬や昆布茶を渡した。
Iさんが持ってきてくれたおかげで、ロープを使って安全に下山することができた。感謝
メンバーのMYさんが、山行前日の朝10時にくれたメールを思い出す。
「昨日の雪で秦野付近の山はうっすら白くなっています。明日は雪の残る中を歩く感じでしょうか」
13時近くなり、時間が気になり始める。
ここまではなだらかで若干の雪が付いている程度だった。
雪山が好きな理由の一つだ。
コンパスはまだ上手く使えないので、耳から入る情報を頼りに現在地確認をする。
屏風岩山の北東、すぐ近くにも権現山(こちらは1138m)がある。
「何のためにこんな辛いことをしているのか」と、自問自答し始める。
気を抜くと、すぐに遅れる。
日本銀行券(紙幣)は、ネパール産のミツマタが使われているそうだ。
みんな談笑しながら登っている、苦しいのは自分だけなのか。
「花は野にあるように」という茶道のフレーズを思い出す。
始めの30分はいつもきついけれど、今日は特別きつく感じる。