大佐飛山 天空の回廊 2024.3 やまづと

会津男鹿の山写真
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※テント場まで戻る途中に2組、今日の早朝に登山口を出たという2人組、3人組に出会う。我々が1日かけて来たところを朝の早い時間に来てしまうのか。凄いね。テント場ではもっといっぱいの人たちが登ってくる。みんな日帰りなんだね。なんかもったいないような気もするけれど・・・

テントをたたんで来た道を戻ります。大長山、西村山、黒滝山、河下山、山藤山、サル山、三石山、百村山・・・登山口に戻る前に日帰り組何組かに追い越されたけれど、無事下山しました。頑張った感、充実感をもって登山口をあとにしました。

※山登りは、登ったら戻らないといけない、下りないといけない。

※大佐飛山頂に着きました。

(着いたぞ動画)

※天空の回廊に一歩を踏み出す。向こうに大佐飛山がくっきり見えています。

※大佐飛山はまだ遠い。ぐるりと回り込んで登ります

※真っ白な雪の上に一筋のトレースを引いて行きました。

※さあ行くぞ

※100万$の宿・・・だって


2日目朝、遅くね、もう日が昇っているよ。

※大長山到着、かなりへたばった。テント場整地のもう一仕事がある。

※小さなアップダウンを繰り返す。この先の大長山は、ちょっと大きめの登りになる。

※那須連山も見えてきた

※天気回復、青空が見え、山から虹が生えた・・・

※谷状に下って、過去3回は谷状の右手の尾根を登ったが、今回は左手の尾根を登る。天気回復傾向。西村山を通過する。

※一旦谷に下って登り返します。

※西村山に向かいます

※黒滝山を通過

※河下山で一息入れて、黒滝山に向かいます。雪が降り続きます。

※急な斜面が終わって河下山へ

※サル山辺りでチラチラ降り出した雪が、山藤山の登りにかかった頃から本降りになる。山藤山を越えて河下山の登りの急斜面、雪と風がきつい。

生まれも育ちも東京で、雪には殆ど縁がない


初めてのスキーは高校生

ゲレンデもレストランも人でごった返し

寒さに震えて1時間のリフト待ち


友人がバイト先に遊びに来いと

20歳で一人乗ったスキーバス

未明到着かの地は猛吹雪


雪も雪山も遠く離れていった


子どもができて4歳になると

スキーの選手になると言い出して

否応なしに付き合った


四季を通して山を訪れるようになると

季節が巡り冬が来て

スノーシューを履いて雪原を歩いた


すべてが雪白に覆われた空間は無限に見えた


汚いものを隠した無垢の世界

決まりも消えてしまった無秩序の世界

純真で自由だった子供の心を思い出した


2024年春分を過ぎた週末にテン泊雪トレの企画をピイマンさんが提案してくれた


ピイマンさんは「一般登山道」や「ピンクテープ」というワードをあまり好ましく思ってないようだ

ピイマンさんが企画する「ハイキング」は世間一般のハイキングよりディープな気がする

ピイマンさんのアドバイスは厳しいけれど的確でシンプルだ


体力に不安はあるもののピイマンさんの胸を借りて今の自分を試してみたい


タイミングは最高

即答してから考える

冬装備、泊装備、重量、何を切り詰め何を加える?


行き先、天気、メンバー、不確定要素に想像を巡らせて集中を高めていく。。。





出発3日前、メンバーはガンチさんとピイマンさんの3人だとわかる

行き先の候補に上がったのは巻機山、日留賀岳、那須、日光など

天気はあまり期待できない


前日の朝、大佐飛山に決定

巻機山、日留賀岳よりずっとキツそうだ

ガンチさんの車で行くことになった


ガンチさんは大佐飛山の再チャレンジでやる気に燃えている

翌朝ではなく、今夜中に集合して車中泊ということになった!

昨日ネット注文した焚き火缶が20時に届いた


去年の泊沢へウタコさんが焚き火缶を持ってきてくれたのだけど

ザックがスッキリまとまって小さかった

こんなに嵩張るものをどうやって?


結局、軽量ザックと夏用シュラフを選択

夜は全て着込んで寝ればいい

凍死すれば迷惑かけるのでホッカイロを2個追加


今年の目標は「新しいことにチャレンジする」と

「迷ったら大変な方を選ぶ」にしたので

今回の題目「雪トレ」は実践する恰好のチャンスだ


間もなく21時というところで、赤羽駅集合時間の23時が絶望的になり24時に変更してもらう

指定の場所に向かうと二人は立って待ってくれている

駆け寄って挨拶、ガンチさんはサッと手を出して荷物を車に乗せてくれた


ピイマンさんは「寝る」宣言をして運転席の後ろへ座り

ガンチさんは一人でフロントシートへ静かに車を動かし始める

ガンチさんが流す懐かしい音楽を聴きながら心地よい振動に身を任せる


「最後のコンビニです」声をかけてくれたガンチさんが車を降りる

ピイマンさんは用がないと答えて、また眠りに戻っていった

下山後の飲料を求めて店内へ入ると、ガンチさんが「予定より短い時間で到着した」と教えてくれた


そこから林道を走って駐車場と思しきところへ車を停める

ガンチさんは周囲確認のため、明かりを手に下車していたと思う

ぼんやりする意識の記憶では2時半頃だった、と思う


5時頃、ガンチさんの声かけで目を覚ます

辺りはすでに明るくなり始めている

車でもう少し先へ進めるという

ガンチさんに運転を任せておにぎりを食べる

顔を上げると、朝日が山を真っ赤に染めている

ピイマンさんが「秋のようだ」と言った


駐車スペースには一番乗り

準備ができると、ガンチさんもピイマンさんも余裕の笑顔だ

6時頃「黒滝山登山口」という看板横の梯子を登る


いきなり続く急斜面、どんどん進むガンチさんとの広がる距離に焦る

後ろを歩くピイマンさんから一言「急かしていると思わなくて良い」

歩きながら無駄口を叩くよう努める


足元に雪が見え始めた

気分が変わる、テンションが上がる

長い足跡を見つける、うさぎだ!


カントリーマァムいちごMiX味、ガンチさんがお菓子をくれる

ピイマンさんは”テキトー”に樹木の名を教えてくれるww

休憩は体も心も癒される


小さなピークをいくつも超える百村山、三石山、サル山

申年生まれなので反応してしまう

ここまでは夏用シャツでスパッツとピッケルのみ使用


山藤山の手前でゴア手袋とワカンをつける

チラチラ舞っていた雪がだんだん激しさを増してきた

面倒だけれどワカンを一度外し、雨具上下を身につける


吹雪いてきて雪が顔に当たる

これでまた肌荒れが進行するなぁ

ボケが進んで、やかましいことを言わなくなった母の顔を思い浮かべる


雪トレにふさわしい天気

ピイマンさんにカメラを向けると笑顔

山にいるだけで幸せだと思う、同好の士よ!


先頭を行くガンチさんがつけてくれたトレースを辿っていく

ワカン歩行は「蹴り込む」「足は逆ハの字ではなく、平行に」

急登は時に大きく踏み込んだり、ピッケルでステップを作るのだとピイマンさんは教えてくれる


ようやく黒滝山に到着

もうここにテントを張ったら良いのにと、密かに思う

西村山でも「明日のため」もっと先まで行こうということになる

無心になって、ただひたすら一歩一歩登っているとガンチさんが大声で教えてくれた

「もうすぐですよ!」「あと、虹が見えますよ!」

しばらく行くと山から大きな虹が生えていた、初めて見る山から生えた虹だった


16時、幕営予定の大長山に着いた!

天空回廊入り口、絶景ポイントが今夜の宿だ、100万ドルの宿だ

大きな自然に抱かれてちっぽけな自分が存在していることを意識するバンザイ


ピイマンさんがスコップを出して整地する

3人で歩き回って雪面を平らにする

今度はガンチさんがスコップを使って雪をあっちへこっちへ動かす


ピイマンさんが運んでくれた本日の家は、やまづと共有4人用の新品テント

ガンチさんは使い慣れたメーカーだと言ってどんどん手を進める

自分も負けずに手を出して家づくりに励む


吹いている風を孕んで大事な家が飛ばされそうになる

風向きを考えて入り口を決める

ザックを入れて重しにする


「どこでもトイレ」青い猫型ロボットの道具みたいにピイマンさんが言う

黄色いテントを起点に二人とは違う方向を目指す、あまり遠くないところへ

2009年女性初のピオレドールを受賞した谷口けいさんに想いを馳せる


テントに入るとマットを敷いて床からの冷気を抑える

体が冷える前にと全てを着込みながら夏用シュラフだと告白する

ガンチさんは心配して銀マットやダウンジャケットを貸してくれると言う


今夜は、やまづとに入って初めての食事当番だ

駐車場を出る時にガンチさんが持ってくれた袋に入っている

先ずは暖をとり晩酌からスタート


ガンチさんはガス缶とガスヘッド

ピイマンさんは雪

自分は新品の焚き火缶を用意する


極寒を想定して500mlの山専ポットに熱湯を入れてきた

ヒマラヤでも活躍する代物だ

20時間経過してもヤケドしそうなほど熱い


コップに湯を注ぎ一口飲むと緊張が解される

今度はそこに安納芋焼酎を垂らし口に含む

鼻腔を通じて香りに包まれ、口内の粘膜が潤う

ガンチさんは日本酒、ピイマンさんは洒落た酒を飲んでいる

ホタテ、チーズ、えび、チョコレート、持ち寄りのつまみを広げて寛ぐ

下界では味わえない濃密で自由、平等な時間を共有する


やがて焚き火缶一杯に詰めた雪が溶け始め、僅かな水になる

雪を追加し続け、ようやく明朝の水が確保できた

まだ温かいその湯を、ナロゲンに納めて湯たんぽにする


19時、フリーズ・ドライ・オン・パレード・ディナーがスタート

ピイマンさんはオカズを指して「これ、美味いんだよな」と言ってくれる

そして、新しい作り方を伝授してくれた


ガンチさんは終始ニコニコしている

すっかり酔っ払ったピイマンさんは今日の頑張りについて褒めてくれた、と思う

ガンチさんは二人のやりとりを見て「さすがだ」と褒めてくれた、と思う


最後にお汁粉を作る

頭からすっぽりとシュラフに包まったピイマンさんに声を掛けると「飲む」と言って、手だけ伸ばす

そのままの姿勢でどうやって飲んだのか「甘い」というくぐもった声だけが聞こえた


寝る前に用を足しに外へ出る

ガンチさんが履いていたロングのテントシューズを脱いで貸してくれた、一面の銀世界が広がる

明後日満月を迎える予定の空は明るく風も音もない、自分の存在を静かに肯定された心地がする


ヘッデンと歯ブラシコップをテントに置いてきてしまった

歯科医の困ったような顔が脳裏に浮かぶけど、まぁいいか

テントに戻り、シュラフに入ると脚に軽い筋肉痛を感じて、膝と踵をグイと伸ばした


「今、何時?」ピイマンさんの声で時計を見る

「5時15分前です」「起きるぞ」

この3人は朝が弱いということがわかった


朝食当番はガンチさん

レトルトカレーを温めて、ナンを炙りながら食べる

ウインナーソーセージもあって、ボリューム満点だ


食後のコーヒーを飲みながらアタック準備

水、行動食、防寒雨具、シュラフカバー、ヘッデン

最低限の荷物とピッケルを持ち、ワカンを履いて6時に出発


昨日の風雪で、新しい輝きを放っている「天空の回廊」に一歩一歩ステップを刻む

雪庇が続き緊張でピリッとする、動物の足跡に一喜一憂する

昨日の頑張りへのご褒美のような快晴、那須連山、飯豊連峰に挨拶

帰宅後知ったことなのだが、大佐飛山は薮が深く残雪期でなければ格段に難しいそうだ

しかし、緩やかに見える雪原も歩いてみると思いのほかアップダウンがある

昨日教わった歩き方を思い出し、試し試し黙々と歩く


8時、大佐飛山登頂!

区切りのあるのが登山の良いところなんだよな~と、大の字を作って写真撮影

次は下山目標15時、頑張るぞ!!


テントの手前で「今朝は4時半に駐車場を出た」「4時に駐車場を出た」という方々とすれ違う

5時に起きている我々とは気合の入れ方が違う。。。

「この3人は朝が弱いということがわかったぞ」ピイマンさんの声が頭の中でリフレイン


9時テン場到着、撤収作業をしている我々の横を何十人もが通り過ぎて行く

「うわぁ~!!」感動の声をあげて立ち止まり、撮影をして行く人々に軽い優越感

家(テント)を持ち上げるピイマンさんに「力持ちぃ~!!」と軽口ではしゃぐ


ガンチさんは食べ終わった夕朝食の包装容器などを纏めて持ってくれる

ピイマンさんは水分を含んで重くなったテントを持ってくれる

感謝して下山目標の達成に集中する


泊装備が加わり荷は重いが心は軽い、気合は十分!

感じるのも束の間

繰り返されるピークの連続に疲弊する


下り急斜面では10回は滑る

雪トレは厳しいものなのだ、いや雪はまだ良い

溶けかかった雪、ヌルヌル泥、ツルツル木の根、オーマイガッ!


ガンチさんはノンスリップノンストップでぐんぐん降りていく

雪トレ後半戦の自分は怪我なく帰ることに余念がない

この山行ももう終わりだと思うと、寂しく愛おしくなってくる


とうとう、一昨日の朝、胸の高まりを感じて登った梯子についた

手に持ったピッケルの扱いに狼狽したが

ピイマンさんが2本持って降りてくれた


15時下山目標を無事達成

下山連絡を受けてくれたヒビチャさんの返信「大佐飛山登頂おめでとうございます」に感動

自分の強み、足りないところを知った自己探求の2泊3日だった


雪上歩行の技術だけでなく、優しさ、強さを教わった2泊3日だった

中学校で隣の席だった”クサマ シンタロー”の名言「人は人 我は我 されど仲良く」

知的障害のあった彼の口癖をまた思い出す

※ぐるっと回り込んで山頂への登り、いくつか偽ピーク

(動画)

※小さなアップダウンが続きます

※那須連山の全景

※前方に那須連山